こうたろう物語.3 / 役場の人との口論

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ワンコを病院に運ぶ前、事件現場で ひな は役場の人とチョットした口論をしました。

おじさんはワンコが死んだと聞いていたらしく、ひなの前で
「なんだ?まだ生きてたのか?!」
などと言いながら逃げるワンコの首にロープを巻きつけようとしました。
「おじさん、殺すんじゃないよ!捕まえるの手伝って欲しいんだよ!」
とひなが言うと
「捕まえてどうするんだ?あんたがどうにかするんか?」
と、ワンコの首にロープを巻きつけ、今にも締め上げようとしています。
それを見いていたひなは、激怒しながらおじさんに向かって言ったのでした。

ひな   「おじさん殺すために来たのかい!!」
おじさん 「そんな事言ったって、こんな怪我してるのどうしようもないでしょう!」
ひな   「だって生きてるんだよ!?飼い犬かもしれないんだよ?」
おじさん 「首輪をしてない犬は、全て野犬と見られるんだよ!」
ひな   「首輪が抜けて、逃げてきた犬かもしれないでしょ?」
おじさん 「抜けたかも知れないけど、首輪をしていなかったら野犬なんだ!」
ひな   「だからって殺すのかい!?飼い主を探さないのかい!?」
おじさん 「だったらこんな状態の犬捕まえて、あんた達でどうするのさ?」
ひな   「捕まえて病院に連れて行くでしょう!」
おじさん 「病院に連れて行ってどうするの?あんた達の犬でないでしょ?」
ひな   「病院に連れて行って、治してから飼い主探すでしょ!」
おじさん 「だったら俺の出る幕ないわ、ロープだけ後で返して」

と言い残し、捕獲を手伝うことなくおじさんは帰って行ったのでした。

この時は感情的になって、自分の気持ちを役場の人にぶつけてしまいましたが
冷静になって考えれば、役場の人も間違った事は言っていない・・・と思えます。
普通なら、あの現場に立ち会った人の半数以上は、
あの場で役場の人にワンコの運命を任せたかも?とも思います。
私だって犬を飼った事が無かったり、犬と暮らしていなかったら、
どうしたかはわかりません。

私の取っている行動は正しい・・・と思い、犬を保護しました。
でも、ワンコにとっては余計なお世話だったかもしれない・・・・・
まわりの人から 「情に流されるな」 「優しさだけじゃどうにもならない」 
というような言葉も言われたりもしました。
口には出さないけれど「馬鹿だなぁ」とか「お人よしだなぁ」とか
心の中で思っている人も少なくはないと思います。

けれど、どうしても見過ごすことができなかったのです。

そしてその夜、改めて決心しました。
このワンコは絶対に幸せにしてあげよう・・・・・
 
 

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